オーディオ 2022年01月03日 02:57   編集
今回は久しぶりにアナログネタ。PA用のスピーカーにFAPSのスタンドを導入して音質アップした経緯を紹介する。

現在オーディオに使っているスピーカーはエレクトロボイスのSX300Eというもの。純正のスタンドに乗せているが、なにせPA用なので、狭い部屋ではちょっと高すぎるし、見た目の圧迫感もあるのでなんとかならないかと思っていた。以前BOSE363のセッティングに使ったFAPSのサイドプレス方式のスタンドが良かったので(33 BOSE363のスタンド更新参照)、SX300E購入時に探してみたこともあるのだが、FAPSのスタンドはどちらかというと小型のスピーカー用のものがメインなので、高さ587mm×幅430mm×奥行き313mmもあるSX300Eに使えそうなものは見つからなかった。
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ところが久しぶりにFAPSのサイトを覗いてみたら、大型のスピーカーにも使えるSSS覚醒なる製品が新発売されている。これなら使えるのでは?と思ってちょっと調べてみた。

SX300Eの底を見てみると、普通のスピーカーと違って複雑な形をしている。スピーカーの前方が広く、後方が狭い台形みたいなカタチをしていて、ゴム足がついている。ゴム足を使ったときに安定させるためのものか、前方左右にフィンのような突起が出ていて、さらに後方にはスタンドの棒を差し込むための穴が空いている。
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SSS覚醒では、Tフレームと呼ばれるT型の金具に3箇所受座をつけて支えるのだが、受け座で支える部分に邪魔なものが当たりそうだ。
SX300EとTフレームの図面を重ねてみると、底辺側の受座がフィンに干渉しそうだし、頂点側の受座はもろにスタンド穴に引っかかりそうだ。スピーカーの底が台形なので、Tフレームを180度回転させて逆向きにするのも無理だ。なかなか一筋縄には行かないようだ。
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これは難しいかなと思いつつ、FAPSの志賀さんにメールで相談してみると、スタンド穴を避けるのではなく、逆にスタンド穴に受座を合わせてみてはというアドバイスが。
これは盲点だった。穴が空いている部分では支えられないと勝手に思いこんでいたが、よく見ると穴の縁に段差があり、受座のサイズが穴の縁の内周より大きいので、潜り込んでしまうことはなさそうだ。
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試しにBOSE363に使用しているSKYの丸ゴム受座をSX300Eのスタンド穴に合わせてみるとちょうど穴の縁にぴったりと合い、ガタツキもない。穴で受座が固定されるので、むしろフラットな底面で使用するより、安定しそうだ。
問題は底面のフィンが邪魔をする前側の2個。フィンの間隔は290mmだが、Tフレームの2個の穴の中心間の距離は260mm。丸ゴム受座の直径が40ミリということなので、合わせて300mmになる。290mmの間には収まりきれない計算になる。
志賀さんに相談したところ、丸ゴム受座は金枠のないタイプも用意できるとのことで、それが35mm。それを使った場合295mmにおさまるので、フレームをしならせて強引に押し込めばなんとかなるかもしれない。
丸ゴム受座がどうしても入らない場合に備えて、念の為スパイクの受座も追加して発注。

届いたSSS覚醒をSX300Eの底面に合わせてみると、後方の受座は狙い通りスタンド穴にピッタリはまった。
前方2個の受座は思ったより後方に下がって、フィンの間ではなくバッフルの継ぎ目の上あたりに来た。フィンの間だと底面が水平ではなく少し斜めになっていて、受座全面ではなく一部だけで支えることになるのも気になっていたので、結果オーライだ。フィンの干渉と斜め部分を避け、さらにゴム足も避けるまさにベストポジションに収まることになった。
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セッティング後は以下のように見た目もスッキリとした。圧迫感がなくなり、部屋が広くなった気がする。今回はスピーカーの高さを変えるのが一番の目的だったので、音質についてはそんなに期待していなかったのだが、激変した。
音を鳴らして最初の印象は、響きがすごく豊かで艷やかな音になったということだ。スピーカーの音ではなく、楽器固有の音が聴こえてくる。音の定位については元からスピーカーの左右に余裕をとっていたので、それほど悪くはないと思っていたのだが、更にくっきりした。それと小音量で聴いても音の細部までわかるようになった。
リスニングポイントの高さが大きく変わったという影響もあるのかもしれないが、同じスピーカーとは思えないほどの変化だ。やはりスピーカースタンドが音に与える影響は大きいようだ。
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見た目が華奢なので耐震性能も気になる。
特にSSS覚醒はスタンドの上に置くだけのセッティングなので、BOSE363に使用したSKYのようなサイドプレス方式と違って、地震で脱落する可能性があるとHPに注意書きがあったが、SX300Eでのセッティングに関しては受け座がスタンド穴にしっかり固定されるので、少なくともスピーカーがずれて脱落するという心配はなさそうだ。試しにスピーカーを押してみると、フレームごと数回揺れるだけですぐに収束し、スピーカーがスタンドからずれるという気配は一切ない。

SSS覚醒とSX300Eの図面を合わせてみたときには、支えるべきところに穴が開いてるなんて相性悪すぎと思ったが、結果的にはSSS覚醒とベストフィットだったといえる。

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