Daphile lightMPD ネットワークオーディオ 2020年08月12日 23:00   編集

DaphileをメディアサーバーにlightMPDをレンダラーとして聴くのが音がいいという情報をあちこちで聞く。しかし、lightMPDというのがよくわからない。「デジファイのおと」というサイトで公開されていて日本製のソフトらしいが、サイトを見てもなんか難しそうだ。断片的な情報としては
  • Linuxがベースとなっている
  • NAS上の音楽を再生し、HDDやUSBメモリなどのローカルデバイス上の音楽ファイルを再生することはできない。
  • 元々ラズベリーパイなどLinux系マザーボードで動くソフトらしいが、Intel CPUで使えるバージョンも出ているらしい。
  • ハードディスクにインストールせず、起動可能なSDカードから起動して使用する。SDカードの代わりにUSBメモリで起動することもできるらしいがメモリを選ぶ。
  • 起動デバイスは起動可能にするためのイメージファイルを書き込んだ後、デバイスによって異なる設定ファイルをダウンロードして上書きしたり、テキストエディタで編集したりする。
    起動デバイスはFAT32形式でフォーマットされるので、Windows上でも編集できる。
  • ネットワーク内で起動したら、ネットワーク上の別のデバイスからDLNAのコントロールポイントで操作する。

lightMPDはハードディスクにインストールせず、SDカードやUSBメモリから起動するということなので、うまくいかなくても使用するPCに影響はないはずだ。気軽に試せそうなのでDaphileのレンダラー用として使っているPC(ThinkCentre M72e tiny)で実験してみることにする。
このPCのCPUはCore i3だが、これで動きそうなものは lightMPDの掲示板のここ で公開されているバージョンのような気がする。LIVA Z, LattePanda用のlightMPDと紹介されているが、LIVA ZもLattePandaもIntel製CPUを使うボードなので、同じIntelのCore i3もいけるのではないかという見当だ。ここからlightMPDのブートイメージuefiboot256m.img.zip パッケージlightMPDx86_64-v1.2.0b1.zipをダウンロードさせてもらう。
起動デバイスを準備する作業はすべてWindows PC上でできるようだ。
uefiboot256m.img.zipを解凍するとimgファイルができる。これはSDカードではなく、USBメモリから起動するタイプのブートイメージらしい。使うつもりのPCはSDカードのスロットがなく、USBメモリを使うつもりだったので好都合だ。イメージファイル書き込み用ソフトとしてDD for Windowsが紹介されていたので、ダウンロードして使おうとしたが、なぜかうちの環境ではUSBメモリが認識されない。仕方がないのでいつも使っているrufusで書き込んだが、特に問題はなさそうだ。
書き込みが終わったらいったん抜いて再度挿したほうがいいらしい。lightMPDx86_64-v1.2.0b1.zipを解凍して中身をすべてUSBメモリにコピーする。すでに存在するファイルもあるが、すべて上書きする。
USBメモリ内のlightMPD/confフォルダを開く。この中に使用目的別の設定ファイルが含まれているらしい。今回はUPNPレンダラーとしてlightMPDを使いたいので、upnpmodeフォルダの中にあるlightmpd.confmpd.confファイルをコピーしてlightMPDフォルダ内にペーストする。もともと同名のファイルがあるので上書きすることになる。このlightMPDフォルダ直下にあるlightmpd.confとmpd.confが実際に設定に使用されるconfファイルということになるようだ。
そのlightmpd.confをエディタで開いて環境に合わせて書き換える。
書き換えるのはネットワークの設定部分だけでいいようだ。Daphileのレンダラーと同じように192.168.11サブネット内に置く予定なので、Daphileに設定していたのと同じIPアドレスにしておく。netmaskもDaphileレンダラーのサブネットマスクと同じ255.255.255.252にしてみた。gatewayとnameserverもルーター、nameserverで設定したのと同じにしておいた。
[network]
interface=eth0
address=192.168.11.4
netmask=255.255.255.252
gateway=192.168.11.1
nameserver=192.168.11.1
domain=mydomain.jp
# post-up=/usr/sbin/ethtool -s eth0 speed 100 duplex full

[ntp]
server=192.168.11.1
ntpd=no
timezone=Asia/Tokyo
[ntp]というのは時刻情報取得のためのNTPサーバーの設定だと思われるが、とりあえずgatewayと同じにしておく。
書き換えが終わったらUSBメモリをThinkCentre M72e tinyに挿して再起動する。確認のためにディスプレイに繋いでみると、画面に文字がずらずらと表示される。最後に
.... /usr/bin/ntpq: not found
と表示されて動かなくなる。なんかOS起動途中にエラーが発生して起動が中止された....
という感じに見える。
失敗したかなと思ったが、Daphileのサーバー用PCを起動してみると、ちゃんとChoose PlayerにUpLightMPDが追加されている。選択して再生してみると音も出る。この状態でいいのか。
1.jpg

音はやはりいい。特に高音域のディテールがリアルにきこえるようになった。Daphileのレンダラーとして使っていた同じPC、同じDACだが明らかに音が違う。どちらがいいかというのは好みの問題だと思うが、USBメモリを挿して起動するか抜いて起動するかで簡単にDaphile、lightMPDを切り換えて使えるので気分や曲によって使い分けてもいいかもしれない。DSDファイルも特に何もしなくても再生できた。

難しそうだと思っていたが、やってみると意外と簡単にできた。今回使用したLIVA Z, LattePanda用のlightMPDはLiva、Lattepanda以外でもイーサネットコントローラーがRealtek 8169PCIやIntel 82575/82576なら動作する可能性があると書いてあった。今回使用したThinkCentre M72e tinyがたまたまそうだったのかもしれない。
lightMPDが起動してしまうとUSBメモリは抜いてしまっても問題ないようだ。ディスプレイはずっと同じ画面を表示しているだけなので、あえてつないでおく必要は無い。Daphileと同じくディスプレイもマウスもキーボードも必要ない。Daphileの場合はインストール時だけはディスプレイやキーボードを使ったが、lightMPDは最初から一切何も接続せずに済みそうだ。
気になるのは発熱が多そうなことで、Daphileの時はほとんど動いていなかったM72e tinyのファンがずっと回転していてうるさい。
ディスプレイの最後に表示されるエラーメッセージのようなものはNTPサーバー関係のようだ。192.168.11サブネットをつなぐルーターのNTP機能を有効にすればいいかもしれない。

それとlightMPDを終了する際、Daphileのように電源ボタンを押しただけでは終了しない。長押しして強制終了するしかなさそうだ。ハードディスクにはアクセスしていないので、ハードディスクが壊れることはないとは思うが、これもなんとかしたい。
...と思っていたら電源ボタンで終了に対応したパッケージも lightMPDの掲示板 で公開されていた。
うちの環境ではブートイメージは前回も使ったuefiboot256m.img.zip、パッケージはこの掲示板で公開されていたx86_64-upnpgw-20200318.zipを使うとうまくいった。このパッケージではlightMPDを起動してもディスプレイには何も表示されないようだ。

それにしても、DACのドライバをインストールするわけでもなく、USBメモリを挿しただけで、OSが起動したかどうかもわからないような状態で、ちゃんと音が出てくるというのは不思議だ。
Daphileもそうだが、これまでの音楽プレイヤーのように既存のOSにインストールして使うのではなく、OS(といってしまっていいんだろうか)そのものを音楽再生に特化するという仕組みが今後のPCオーディオ、ネットワークオーディオの主流になるんだろうか。

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