パソコン 2009年04月20日 17:22   編集
無謀にもIBMのワークステーションMProのマザーボードを交換することにした。
職場のネットワーク関係の都合で、いままで使っていた私物のパソコンが使えなくなったためだ。新しいパソコン買う余裕はなく、古いIBMのMProがあったので、これをなんとか使えないかと思ったのがきっかけだ。調べてみると、7年前の物でCPUがペンティアム3の733MHz、メモリが128MBと今となっては、3DCGをやるにはちょっと厳しいスペックだ。
それに電源入れてみても、うんともすんとも言わない。電池切れの可能性もあるが、いずれにしてもこのままでは使えないので、いっそのこと改造しよう!・・・と決心してしまった。

マザーボード

入れ替えるとなると、まずはCPUだろうが、ペンティアム3と今流通しているIntelのCPUではソケット形状が違う。ソケットはマザーボードについているので、マザーボードごと交換の必要がある。マザーボード入れ替えとなると、ケースに新しいマザーボードがちゃんと付けられるのかという問題があるが、調べてみると、マザーボードのねじ穴の位置や拡張スロットの位置などを決める規格は、IBMの仕様を元に決められたらしいので、まず大丈夫だろう。

CPUだが、インテルのものとAMDのものが主流で、この2つもソケット形状が違う。どちらにするかを決めなければならない。よくわからないがインテルにする。とすると、ソケット形状はLGA775というタイプの物になる。

もう一つ考えなければならないのは、ビデオカードだ。旧MProにもビデオカードはついていて、これを流用するということも考えられるが、これもまたスロット形状が変わっている。旧MProのものはAGPと呼ばれる古い規格で、現在はPCI Express×16というのが主流となっている。AGPのカードが使えるマザーボードを選ぶということも考えられるが、そういうのは種類も少なく、先のことを考えるとPCI Express×16対応のボードにしておいたほうが無難だろう。ただ、PCI Express×16対応のビデオカードも買うとなると、さらに費用がかかるので、ビデオ機能をチップセットに内蔵して、ビデオカードなしでも使えるタイプのマザーボードにする。最新のチップセットG965は、以前の物に比べてかなり描画機能が強化されているらしいし。もちろん、マザーボードにはPCI Express×16スロットもあるので、将来チップセット内蔵のビデオ機能が物足りなくなってきたら、ビデオカードを追加することもできる。

いろいろ考えて、マザーボードはLGA775ソケットがあってビデオ機能を内蔵したチップセットG965のついたASUSのP5B-Vというものにする。

デバイス

次にメモリだが、これもRDRAMからDMR2へと規格が変わっている(^^;;
流用はできないので新たに買うしかない。しかし、いまは比較的メモリは安くなっているようで、ノーブランドの512MBのメモリが4000円台で買える。とりあえず、これを2枚でデュアルチャンネル対応とするか。余裕ができたらさらに2枚追加して2GBにする。

次にハードディスクだが、これもパラレルATAからシリアルATAへ規格が変わっている。
ただ、これについてはまだパラレルATAのハードディスクも売られているし、マザーボードもほとんどパラレルATAのハードディスクが使える。
しかし、旧MProについていたのはUltra ATA-66という古めのもので、容量も13.5GBしかない。Ultra ATA-66というと、アクセススピード66MB/秒で最新のシリアルATAの300MB/秒に比べるとかなり遅い。パラレルATAのリボン状のケーブルはPC内で空気の流れの妨げになるという話もあるし、やはりシリアルATAのハードディスクを新たに買った方がいいだろう。250GBで8000円台のものもある。

フロッピーやDVDドライブはそのまま流用できるだろうと思っていたら、DVDじゃなくてCD-ROMドライブしかついていなかった。今時DVDが使えないのもどうかと思うので追加。
6000円台かな。

MProの電源は300Wと書いてある。それで足りるのかということと、起動できないのが電源不良の可能性もあることが気になったが、もしダメだったらそのとき考えようということにした。

Webで購入することになるが、安値のところを探してもバラバラに買うと送料が別々にかかって結局高くなってしまうので、同じところでまとめて買うことにした。
種類     メーカー     商品名     価格
マザーボード     ASUS     P5B-V     \19393
CPU     Intel     Core 2 Duo E4300 BOX     \21780
メモリ     ノーブランド     DIMM DDR2 SDRAM PC5300 512MB/JEDEC ×2     \9940
HDD     日立     HDT725032VLA360     \9800
DVDドライブ     PIONEER     DVR-112/MP Ivory ソフト付 Bulk     \6880
        合計     \67793

注文したあとで思ったけど、DVDドライブもSATA接続のものがあるようなので、そっちにしておいたほうが良かったかもしれない。ATAPIだと、ケーブルが帯状なので取り回ししにくく、ケース内の空気の流れを妨げる恐れがあるそうだ。

電源

電源は元からついていたのでいいかなとも思ったが、やはり300Wでは心許ない。自作用に出回っている電源は500Wぐらいのものが多く、最低でも400Wはあるようだ。それとマザーボードへの電源コネクタのピン数も違うようだ。元々ついていた電源は20ピンだが、今は24ピンが主流らしい。変換アダプタでつなぐことはできるようだが、電源が不安定なのも怖いので、これも買うことにする(^^;;
安いのは3000円台からあるが、電源ケチってマザーボードやCPUも道連れにされたらかなわないので、ANTEC SP 450 という\8000ぐらいのにする。

マザーボードがはずれない(^^;


MProの中身をはずす。MProは内蔵ベイがけっこう充実している。3.5インチHDD用ベイが4個、CDドライブに使えるベイが2個、フロッピー用が1個、全部で7個分もある。
EProは4個分しかなく、HDD用は1個しかなかったので、HDD増設するためにフロッピードライブをはずすという'荒技'を使わざるを得なかった(^^;;

マザーボードにささっていた拡張カードやケーブルを抜いて、マザーボードの取り外しにかかる。はずすだけならなんてことないだろうと思っていたら、1個はずせないねじが・・・
ねじの頭にドライバーがはまらないので、どうやってもゆるめられない。
マザーボードを勝手にはずしたりしないようにわざと1個だけそういうねじにしているのか?はずし方をIBMに聞くわけにもいかないので、マザーボードを糸のこで切り取ってなんとかしよう。マザーボードの一部がついたままのマウント用ねじが残ったままになるが、マウントねじごとケースからはずしてしまえばいいだろう。

いきなり引っかかってしまったが、先行きが不安になる。
ケースとマザーボードの接続では、電源ボタンやHDDアクセス状態表示LEDなどのシステムパネル、ケースファンの電源もつながなければならないが、こうしたもののコネクタが独自規格になっていたりすると面倒だな。念のため、ATX用電源スイッチキットを買っておく。

挫折・・・


とここに来て、さらなる問題が発覚。
マザーボードについているUSBやLANコネクタなどを筐体の外に出す部分をバックパネルというらしいが、これがMProの場合、ケースと一体になっているため、ASUSのマザーボード用バックパネルが取り付けられないことがわかった。確かにメーカーPCの場合、マザーボード交換なんて考えてないはずだから、こうなっている可能性は高いよな。
金属用のこでバックパネル部分を切り抜けばなんとかなるかもしれないが、そこまでの気力はない・・・
ということでMPro再生プロジェクトは早くも頓挫した。<根性なし

とはいってもすでに購入したマザーボードやCPUを放置しておくわけにもいかないので、PCケースを購入することにする。電源も買っているので、電源なしのAntec SOLOというやつにする。ケース後部に12cmファンがついていて、前部にも小さめのファンが取り付けられるようになっているが、オプションになっているので、ファンもついでに購入。

SOLO(ケース) \12980
TriCool 92(ファン)×2 \2760

5、6万で済むつもりだったのが、結局かなりの出費に・・・

OS


OSは、今使っていないWindows2000があるので、とりあえずこれを使おうかかと思っていたが、調べてみるとアップグレード版だった。
ということはOSも買わないといけない。となるとちょっと悩ましいところではある。Vistaを入れると、使えなくなるアプリもあるかもしれないので、XPを入れるのが間違いないだろうが、どうせ新たに買うなら新しいOSを試してみたいという気もする。

悩んだ末、結局Vistaにした。しかし、これがけっこう高い。グレードがいろいろあるが、Home Premiumというのにする。できれば2万5000円近くする通常版にしたいところだが、予算はとっくにオーバーしているので、DSP版(1万7900円)にする。DSP版というのは一緒に買ったパーツが組み込まれていないとインストールできないという製品で、Microsoftの直接サポートが受けられないというところも通常版と違うらしい。
いままでMicrosoftの直接サポートなんて受けたことないし、パーツもついてきて安いならそっちの方が得かもしれない。付属のパーツはフロッピードライブやカードリーダー、DVDドライブ、ハードディスクなどから選べるが、当然高いパーツを選ぶと高くなる。フロッピードライブが一番安いし、付属のパーツをはずしたり、壊れたりするとインストールしたOSも使えなくなるという話もあるが、フロッピードライブが一番壊れにくそうな気もするので、フロッピー付きのにする。

動作テスト


ケースの到着が遅れているので、動作テストもかねて、先に届いたパーツをつないでみる。マザーボードのマニュアルに詳しく手順が説明されているので、そのとおりつなげると特に問題もなく組み上がった。
まずはマザーボードにCPUを挿してCPUファンを上からはめる。CPUのコネクタカバー(というのかな。黒いやつ)をはめたままスロットに挿そうとしてちょっと焦った。マザーボードのマニュアルにはCPUはマザーボードをケースに入れてから装着すると書いてあるが、先にCPUを装着することを勧める解説書もあるので、特に気にしないことにする。メモリも4枚とも挿してみる。4枚ともメーカーも容量も同じなので、特に気にする必要はないのだろうが、デュアルチャンネルにする場合、どのスロットに挿せばいいのか迷う。P5B-Vの場合、A1,A2,B1,B2と4個のメモリスロットが並んでいるが、メモリが2枚の場合、A1とA2に挿せばいいのか、A1とB1に挿せばいいのか迷った。A1とB1が同じ色、A2とB2が同じ色という配色になっているのも迷う要因だ。IntelとAMDで挿す位置が違うらしいが結局どっちがどうなのかわかっていない。

とりあえずはマザーボードにCPUとメモリを挿しただけの状態で起動してみる。もちろん電源ユニットもつなぐが、24ピンと4ピンの電源ケーブルをマザーボードに挿すだけだ。
スイッチを入れても起動しないというトラブルもあったが、電源スイッチをシステムパネルコネクタの電源ピンにちゃんと挿していなかったのが原因だった。特に問題なくBIOSが起動したので時刻を合わせていったん終了する。

OSインストール


自作(ということになるのだろう)は初めてなのに、思ったよりスムーズにいったので調子に乗ってOSもインストールしてみることにする。

先の最低限の構成に加えて、ハードディスク、DVDドライブ、それにOSがDSP版なので、一緒に買ったフロッピードライブもつながないとインストールできない。
マザーボードとの接続は特に迷う部分はない。フロッピードライブは専用のコネクタがあるし、ハードディスクはS-ATA接続なので、IDEコネクタにはATAPI規格のDVDドライブしか接続するものがない。IDEケーブルには3か所コネクタがあって、ジャンパピンをケーブルセレクトにすると、コネクタによってマスター、スレーブが決まるらしいが、DVDドライブのジャンパはマスターになっているので、そのままにしておけばどこにつないでも一緒なのだろうと思うが、一応マスターのコネクタにつなぐ。S-ATAのハードディスクはジャンパピンもないので、S-ATAケーブルでつなぐだけ。コネクタに番号が振ってあるので、一応一番若い番号に挿しておく。

電源ユニットからの電源ケーブルも、それぞれ形が違うので迷うことはない。S-ATAのハードディスクは専用の電源コネクタと、従来のペリフェラル4ピンコネクタの両方がついている。どっちをつなげてもいいようだ。

Vistaのインストールディスクをいれて、起動すると無事にインストール画面に進んだ。最初にハードディスクをフォーマットするのかと思ったら、いきなりインストールするようだ。「インストールしますか?」「はい」を選んだら、後はほとんど何もすることなく終わった。かかる時間もXPに比べるとかなり短いようだ。時間は計らなかったが、30分ぐらいで終わったのではないか。
なんてことなくVistaのインストールが終わると、各パーツは元通りバラして袋に収納する。これでケースが届いて再度組み込んだら、そのままVistaが起動する。・・・はずだよな

ケースに組み込み


ケース(AntecのSOLO)が届いたので、パーツを組み込む。このケースはマザーボードを先に入れると、電源が入らなくなるらしいので、まず電源ユニットを組み込む。そしてケースフロントパネルに9cmのファンを取り付ける。このケースは標準で背面に12cmファンがついており、フロントパネルは9cmファンが2個取り付けられるようになっている。フロントから吸気して背面から排気するエアフローにしろとケースのマニュアルに書いてある。9cmファンの風向きがよくわからなかったが、ケースと同じメーカーのものなので、おそらく同じ向きに流れるだろうと思って、ファンに張られているロゴシールの向きが背面ファンと同じになるように取り付ける。ファンの取り付け部分はプラスチック製でねじ穴に山が切られていないので、ねじ込みにけっこう力がいる。向きを間違えていたら付け直さなくてはならないので、ねじ穴4個のうち、2個だけつける。

このケースは取り付け用ねじが3種類付属しているが、一緒くたになっているし、どのねじを何の取り付けに使うという説明もないので、迷う。3種類のうち1種類はほかのものより長いので、たぶんハードディスク固定用のねじだろうと察しがつくが、マザーボード固定用と、デバイスへの取り付けレール固定用のねじがどっちがどっちかよくわからない。結局ちょっと大きめのねじでマザーボードを固定することにした。取り付け終わった後も、かなり余っていたが、予備がたくさんあるんだろうと気にしないことにする。残るねじでレールもちゃんと固定できたのでたぶん大丈夫だろう。

マザーボードを取り付ける前に、ケースに最初からついていたバックパネルを取り外さなくてはならないが、これがかなりしっかり取り付けられているので、外すのにけっこう骨を折る。どうせマザーボード付属のバックパネルに取り替えるんだから、こんなにしっかりとつけなくてもいいのにと思う。

DVDドライブやハードディスクはレールをつけてフロントパネルから押し込むようになっているが、これはスムーズにできた。取り外しも楽だろう。

ケーブルの接続は裸でつないだときと同じだが、さらにケースから出ているケーブルをつなぐ。ケースに取り付けられたファンと電源スイッチやHDDアクセスランプ系のケーブルだ。マザーボードのファンコネクタは3ピンになっているが、ファンからは3ピンとペリフェラル4ピンコネクタが両方出ている。3ピンケーブルの先に4ピンと3ピンの分岐ケーブルを接続されているのだが、マザーボードでファンスピードの管理をするためにはマザーボードにファンのケーブルをつなぐ必要がある。4ピンは使わないので分岐ケーブルは外してしまう。フロントの9cmファンは4ピンと3ピン両方出ているので、マザーボードにつなげられたが、ケースに最初からついている12cmファンは4ピンケーブルしかないので、やむを得ず電源ユニットに直接つなぐ。

あとはシステムパネルコネクタに、ケースから出ている電源やHDDアクセスのLED、電源ボタンやリセットボタンのケーブルをつなぐ。このマザーボードはこうした細かいケーブルを取り外しのできる一つのコネクタにまとめて挿し、それをマザーボードのシステムパネルコネクタに取り付けられるようになっているので、比較的楽に作業できた。
ケースに組み込んだ状態で起動してみると、電源LEDのピンを逆に挿してしまったので電源LEDが点灯しなかったという失敗以外は何事もなくVistaが立ち上がった。

ソフトインストール


まずはマザーボードに付属のソフトをインストールする。Windows上でBIOSを更新するユーティリティや、CPUの温度やファンスピードをモニターしたり、CPUをオーバークロックしたりするソフトだ。しかし、マニュアルに表示されているインストール画面とちょっと違うような気がする。気にせずインストールしてみるが、起動できないソフトもある。AsusUpdateフォルダにあるMyLogoとか・・・
ひょっとして付属のソフトはVista対応ではないのかも。と思ってAsusのHPからVista用最新版をダウンロードしてインストールしてみると、無事起動できるようになった。

AI SuiteというユーティリティでQファンを有効にする。ケース内温度によって自動的にファンの回転速度を調整するOptimizeにする。フロントパネルに取り付けた9cmファンの片方の回転数が時々0になる。実際には止まっていないので、空いているほかのファンコネクタにつないでみると全く動かない。接触不良か。しょうがないので元に戻す。ほかのケースファンも時々とんでもない回転数を表示したりする。Optimizeだとちょっと回転数低すぎのような気もするので、設定はPerformannceに変更。

関連事項 03 BIOSパッチファイルのインストール

ハードディスク


そのほか気になるのはハードディスクのS.M.A.R.T.情報が得られないこと。日立のFeature Toolで設定を確認しようとしたが、ブートフロッピーが作れない。何度か試しているうちにFeature Toolはできたが、Fitness Testは結局できなかった。ブートCDはFeature Tool、Fitness Testどちらも作成できた。ブートCDを入れて起動してみるが、Feature Toolを起動しようとすると何度やってもエラーが出る。Fitness testは起動できた。メモリ不良の可能性もあるかなと思って、4枚のメモリのうち1枚ずつ差して試してみるがやはり起動できない。Webで調べるとDVDドライブが原因になっていることがあるということで、DVDドライブを外して試してみると、やっと起動。Feature Tool使うときはほかのデバイスは外しておかないと使えないのだろうか?試しにDVDドライブの代わりにMProから外しておいたCDドライブを接続して試してみるとちゃんと起動。DVDドライブの相性かな?
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