Diretta ネットワークオーディオ 2021年12月02日 21:08   編集

Direttaのお試し版が公開されたらしい。
https://www.diretta.link/download/limited2021.html
Direttaとは高音質を目指した新しいオーディオ用のデータ通信の仕組みということになるのだろうか。とにかく音がよくなるらしいので、ありがたく試させてもらう。来年の1月16日まで使用可能ということだ。

インストールの手順は、ダウンロード先で公開されている動画の説明どおりやったらいいようだ。
公開されているファイルのdiretta_usb_bridge_x64_limited-1_97_14-202100.zipをダウンロードして解凍すると、
diretta_usb_bridge_x64_limited-1_97_14-202111.img
DirettaASIOdriver_1_100_0.msi
という2個のファイルができた。Direttaはホスト用とターゲット用に2台のPCが必要だが、imgファイルはDirettaターゲットのブータブルメディアを作成するのに使い、msiファイルの方はDirettaホストにするWindows PCに入れるASIOドライバのインストーラーということだ。

ホスト用は普段使っているPC、ターゲット用はDaphileのレンダリングに使用しているインテルPCを使って以下のような構成にしてみた。DaphileレンダリングPCもUSBブートにしていたので、Direttaターゲット用のUSBメモリに差し替えて起動するだけだ。ホストに使うPCはfoobar2000がインストール済みなので、とりあえずこれで再生してみる。再生ソフトはASIOドライバ対応の必要があるということだが、foobar2000にはすでにASIOのコンポーネントもインストール済みなので、設定画面→Playback→Outputを見てみるとDiretta ASIO Driverが追加されている。それを選んで再生するとすんなり音が出た。かなりいい音だ。
1.png
foobar2000で再生しているだけなら問題ないのだが、再生中にホストPCで他の操作(特にブラウザを開くなどネットワーク関連の操作)をすると、再生が乱れることがある。ウチの環境だけの問題かもしれないが、ホストPCもDiretta専用のものを使う方が無難かもしれないと思って、以下のようにDirettaホスト専用のPCを追加してみた。
2.png
これでも特に問題なく再生できた。

Direttaは、ソフトウェアとしての販売は行っていないようだ。正式に使いたいと思ったらオリオスペックでDiretta起動メディアのついたPCなどを購入するしかない。...と思ったら起動メディア付きのPCは販売終了したようで、今はDirettaターゲット専用機を販売しているようだ。
10万弱のDirettaターゲット専用機を買えば、正式にDirettaを使うことができる。効果を考えると10万円の価値は十分あるかもしれない。
DACを使っているオーディオ環境ならほとんど導入できると思う。シンプルにPCにDACつないでいるだけという環境でもDAC部分をDirettaターゲット+DACに置き換えるだけで劇的な音質アップを体験できる。ターゲットとホスト間はLANケーブル直結もできるので、HUBがなくても使える。ややこしい設定もなしですぐに音が出る。

Direttaのサイトに書いてある説明を読んでみると...
ターゲットPCでは最小限の処理しか行わず、処理を平均化することによって高音質を実現する。
このためにホストはターゲットと同期して動作し、ホストからターゲットに送られるパケットは可能な限り短い間隔で頻繁に送信される。これによってターゲットPCでの消費電力の変動も平均化され高音質につながる。
というようなことが書いてある。

デジタルからアナログ信号に変換するDACでノイズの影響で音質が劣化するおそれがあるので、DACを接続したターゲットPCでノイズの発生を抑えたい。そのために低周波ノイズの原因となるCPUの負荷変動による消費電力の変動を抑える必要がある。もともとターゲットPCは音楽データをDACに送る以外の処理はほとんど行っていないが、その音楽データをLANケーブル経由で受け取る作業があるのでこれも効率化したい。従来の通信プロトコルではデータを効率的に送るために結構複雑な処理をしており、これによってCPUの負荷が変動する事があっため、複雑な処理を行わずにデータを一定の短い間隔で少量ずつ送る新しい専用のプロトコルを採用することによって電力変動によるノイズの発生を抑えている。
・・・ということかなと思う。

この解釈が正しいとすると、PCオーディオで長年不思議に思っていたことに説明がつくような気がする。
それはデジタルデータを扱うからどんなパソコンを使っても音は変わらないはずといわれていたPCオーディオが、実際には使用するPCやソフトウェア、ネットワーク構成によって音質が変わるのはなぜ?という疑問だ。

たとえばハードディスクやSSD内のデータを伝送するSATAケーブルが伝えるのはデジタルデータで、SATAケーブルを変えたからといって伝えられるデータが変わることはないはずだ。多少安物のケーブルを使ったからと言ってデータの9割しか送られないということはない。多少データ送信に失敗してもOSの誤り訂正機能によって正しいデータが訂正して送られるからだ。
それなのにSATAケーブルを変えると明らかに音が変わる。
Direttaの高音質化の仕組みになぞらえると、SATAケーブルを高品質なものに変えるとデータ転送のエラーが減る。エラーが減るとエラー修復の必要が減るので、CPUの負担も減る。CPUの負担が減ると、それに比例する消費電力の変動に伴う低周波ノイズの発生も減り、音質劣化も減る。
ということが起こっていると想像される。LANケーブルやHUBを変えても音が変わるというのも同じような理由だろう。

一言でいうと、デジタルデータを伝えるケーブルを変えても、伝えるデジタルデータそのものは変わらないが、CPUの動きが変わるので、CPUの動きに伴う電源ノイズがUSBケーブル経由でDACまで届き、アナログの音声信号に影響してしまうということだと思う。

今更そんなの常識だと言われるかもしれないが、CPUと電源ノイズが関係していると聞くと、色々腑に落ちるところがある。PCオーディオに限らず、オーディオは電源が重要といわれるのもこの電源ノイズが音質に影響を与えてしまうからということだろう。

上記の体験版の有効期限は終了したが、機能制限版も公開されているらしい。
機能制限版
再生できるのは44.1KHz のフォーマットに制限されているが、Direttaの高音質を十分に体験できる。


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