LPデジタル化計画 2010年07月27日 11:23   編集

パワーアンプ故障


我が家では毎年暑くなってくると、頻繁に停電が発生するようになる。パソコンとRAID、ブルーレイレコーダーは無停電電源装置につないで停電に備えているのだが、長年使っていたパワーアンプ(パイオニア M-90)が、度重なる停電のためとうとう壊れた。
右チャンネルから音が出なくなり、逆に左チャンネルから異常に大きな音が出るようになってしまった。近所にパワーアンプの修理もやってくれる電気屋さんがあるので、とりあえず修理を頼んだが、
なんせ20数年前のアンプなので、パーツが入手できなければ修理できないかもしれないといわれた。

んー、修理できなかったらパワーアンプを買い換えるといっても、そう安い買い物ではない。パワーアンプなしでAVアンプから直接スピーカーに音を出すこともできるので、安物のパワーアンプを買うのではあまり意味がない。

SE-U55GX → Dr.DAC2 DX


停電しないよう、再三アンペアを増量するよう要求していたのに、聞き入れてもらえなかったのがアンプ故障の原因ということにして、嫁からアンプ購入資金を援助してもらうことを交渉してみる価値はあるかもしれない。しかし、どうせ同じ金額をかけるならパワーアンプ以外のところにかけた方が費用対効果を考えるとどうなんだろう。いろいろ考えているうちに、もしパワーアンプが直らなかったら、アンプはあきらめてオーディオプロセッサを更新しようということになった。
まだOSはXPだが、今使っているONKYOのSE-U55GXはVista以降に対応していないらしいので、この辺でVistaや7に対応したオーディオプロセッサに更新しておいた方がいいかもしれない。ONKYOにするなら後継機のSE-U55SXということになるのだろうが、イマイチ食指が動かない。デザインも安っぽいし。
上を見たらきりがないが、価格comでサウンドプロセッサ部門人気1位のDr.DAC2 DXが評判が良さそうなのでこれにする。・・・というわけでパワーアンプの修理がどうなるかわかる前にオーディオプロセッサを更新するということが決定事項になってしまった。

パワーアンプを修理に出している間、U55GXからイヤフォンで聞いていたが、とりあえずAVアンプから音を出せるようにスピーカーケーブルをつなぎ替えてみた。すると、右チャンネルから音が出ずに、左チャンネルからばかでかい音が出る。えー、壊れていたのはAVアンプの方だったか。AVアンプの場合、バランスなどの設定は電子的に記録されているっぽいので、設定を初期化してみると、あっさり症状が治ってしまった。

パワーアンプは引き続き使用できるようになったが、Dr.DACは買ってしまった。まあ、使ってみるしかない。
外観はかなり小さい。まさに手のひらにすっぽり載るサイズだ。早速つないでみると思っていた以上に音が変わった。音がさらにクリアになった印象だ。ボーカルは艶やかになり、低音が力強くなった。AVアンプから直接スピーカーにつなぐのと、パワーアンプ経由でつないだ場合の違いより大きいかもしれない。

DAC + ADC


しかし、誤算もあった。U55GXは、レコードプレイヤーのデジタル化にも使っていたのだが、Dr.DACではそういう使い方はできないようだ。名前の通りDr.DACに入っているのはDAC(デジタル→アナログコンバーター)のみで、アナログからデジタルへの変換はADC(アナログ→デジタルコンバータ)が必要だということだ。U55GXはこのADCも入っているのでレコードのデジタル化にも使えていたということになる。簡単に内部での処理を書くとこんな感じだろうか。
1.gif

最近めっきりレコードからのデジタル化もさぼっているが、ブルーレイレコーダーで録画した番組などからの音源取り込みにもADCが必要だ。*1
やはり、A/Dコンバータも必要なのだが、必要なときにU55GXに接続を変更するのも面倒だなと思っていたが、接続方法でU55GXのADC部分だけを活用できそうだ。
つまり、アナログ入力はU55GXにつなぎ、U55GXのデジタルアウトからDr.DACにデジタル入力につなぐ。Dr.DACのデジタル入力は1個しかないので、CDプレイヤーからのデジタル入力もU55GXにつなぐ。
アナログ→デジタル変換はU55GXで行うが、デジタル音声からUSB信号に変換?するのはDr.DACで行うことになる。
デジタル音声からUSBへの変換処理でも音質に影響していて、この処理部分がDr.DACの方が優れているならその分音質向上が期待できることになるが、どうなんだろう。
2.gif

図のように接続してみたら、無事にRCAコネクタからのアナログ入力もPCに取り込めた。U55GXはVista以降には対応していないということだが、U55GXは直接はPCにつないでいないので関係ないだろう。
OSを更新してもこのまま使い続けられるということになる。

アンプへの接続


SE-U55GXを使っていた時はSE-U55GXの光出力をAVアンプに接続していたが、考えてみればわざわざAVアンプを通す必要はない。
Dr.DAC2のRCA出力を直接パワーアンプにつなぐこともできるはずで、その方が余計な経路を経ることによる音質の劣化を避けることができるはずだ。
パワーアンプ(パイオニアM-90)にはプリアンプからの入力だけでなく、CDダイレクト、ラインダイレクトと3つの入力があるので、Dr.DAC2のRCA出力をラインダイレクト、CDプレイヤーからのRCA出力をCDダイレクトに接続してみた。
20年以上使っているアンプだが、ラインダイレクトを使うのは今回が初めてだ。コネクタキャップがはまっていたので、接触部分がさびてはいないようだ。

CDダイレクトとラインダイレクトを切り替えて聞き比べたとき、音質の違いはDr.DAC2とCDプレイヤー(マランツ CD-80)でのデジタル→アナログ変換プロセスの違いと考えていいだろう。
聞き比べてみると、ほんのわずかCDダイレクトの方が音の解像度、透明感でまさっているような気がしたが、同じ演奏部分を何度か聴きわけてみないとわからないレベルだ。
同じ曲をPCから再生して比べてみると、さすがにCDプレイヤーでの再生には劣るものの、AVアンプ経由での再生*2に比べると断然音の情報量が違って聴こえる。
なお、Dr.DACでは光での出力は常にUSBからの音になる仕様らしく、CDプレイヤーからDr.DAC経由での光出力は再生できないことになる。S/PDIFとUSBのセレクタもついているのだからRCA出力と同じように切り替えられるようになっていてもいいと思うのだが・・・
光出力端子はDr.DAC2にはついておらず、Dr.DAC2 DXで追加されたらしい。あとで付け足したカタチなので、なにかと制限があるのかもしれない。
ついでにいうと、光出力はUSBバスパワーで給電されているので、電源スイッチを切っても出力されている。スイッチを切ってインジケーターが全て消えた状態でも音が出ている。ちょっと不思議な気もするが、これで正常動作らしい。

オペアンプ交換


Dr.DAC2では、オペアンプが交換可能になっており、交換することによって音が変わるらしい。見た目はICチップの様なカタチをしている。アンプというからには、電気信号を増幅したりするものだろう。値段は1個数10円から数1000円だが、Dr.DAC2の交換用オペアンプとして人気が高いのは、OPA627BPというものだ。

Dr.DAC2で交換できるオペアンプは5個ある。ライン出力用とヘッドホン出力用オペアンプが各1個、それにFDO(フルディファレンシャルアウトプット)用オペアンプが3個という構成だ。ヘッドホンはほとんど使わないので、ヘッドホン用は関係ないとして、残りの4個がライン出力から出る音にどう関わっているのかがよくわからない。
たくさん交換した方が効果も大きいのだろうが、単体ではそれほど高価なパーツではないが、全部交換したりしていたらDr.DAC本体より高くなる可能性もある。

とりあえずOPA627BPを1セットだけ注文した。
標準で装着されているオペアンプはデュアルタイプ*3だが、OPA627BPはシングルと呼ばれるタイプで、デュアル用のソケットに装着するには通称ゲタと呼ばれる変換アダプタをかまさないといけないようだ。そして、1個のデュアルタイプオペアンプと入れ替えるには、シングルのOPA627BPが2個必要になる。
1個3000円台だが、これが2個プラス変換アダプタが必要になる。
AudioTrakでこれを組み合わせてハンダ付けまでしてあるのがセットで販売しているので、これを購入した。7700円。

とりあえず、ライン出力用を交換することにする。フロントパネルのねじ4個と、リアパネルのねじ2個を外すと基盤が取り外される。マニュアルではどれがライン出力用オペアンプなのかわからないが、ネットで検索すると、正面から見て一番右側、ボリュームつまみの奥にあるものだとわかる。かなり小さな部品なので、さすがに指ではさんで取り外すというわけにはいかないようだ。オペアンプの長編側には4本の端子が出ているので、端子のない短辺側にマイナスドライバを引っかけて少しずつ上に持ち上げて外す。専用の工具を使った方がいいかもしれない。
向きを間違えないように気をつけてOPA627BP×2を挿入する。

早速つないで音を出してみると、確かに変わった。ヴォーカルが艶やかになった印象。時々金属的に聞こえることもあるが、嫌いな音ではない。エージングでもう少し柔らかくなるかもしれない。
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